横の関係
子育てを例に考えてみる
褒めて育てるのか叱って育てるのか
アドラー心理学では
褒めてもいけないし叱ってもいけない
褒めるという行為には
能力のある人が能力のない人に下す評価
という側面が含まれている
褒めることの背景にあるのは
上下関係、縦の関係を象徴している
アメを使うか鞭を使うか
いずれにせよ
目的は操作であると考えられる
アドラー心理学ではあらゆる縦の関係を否定し
すべての対人関係を縦の関係とすることを提唱している
そもそも劣等感とは
縦の関係の中から生じてくる意識
対人関係を縦でとらえ
相手を自分より低く見ているからこそ介入してしまう
介入ではなく援助をする
介入とは
「勉強しなさい」「あの大学を受けなさい」
援助とは
強制するのではなく「自分は勉強ができるんだ」と自信を持ち
自らの力で課題に立ち向かっていけるように働きかける
こうした横の関係に基づく援助のことを
アドラー心理学では「勇気づけ」
勇気づけは褒めることではない
人は褒められることによって
「自分には能力がない」という信念を形成していくから
褒めることは能力のある人が能力のない人に下す評価だから
具体的なアプローチとしては
感謝の言葉を伝える
率直な喜びを伝える
お礼の言葉を伝える
これが横の関係に基づく勇気づけのアプローチ
一番大切なのは、他者を「評価」しない
人は感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知る
人は自分に価値があると思えたときだけ、勇気が持てる
人は自分は共同体にとって有益なのだと思えたときこそ自分の価値を実感できる
共同体つまり他者の働きかけ
「私は誰かの役に立っている」と思えること
他者からよいと評価されるのではなく
自らの主観によって「私は他者に貢献できている」と思えること
そこで初めて私たちは自分の価値を実感できる